キューバと俺 

キューバの虜になった大学生。

人の数だけある正解


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 ついに6か月のスペイン語クラスが終了し、キューバ留学の前半が幕を閉じた。ようやくちょっとずつ物事の捉え方が変わって来たような気がしてきた。


 そんな時にという気持ちが残りつつビザの事情で出国しなければいけず、アメリカに向かう事になった。


 別にアメリカでなくても良かったが、幸い2018年のCLSプログラムで出会った友達が招待してくれたのでアメリカ、ニューオリンズに1週間滞在することになった。

 

  正直アメリカに行きたいとい願望はそれ程なかったが彼と会うのはかなり楽しみだった。それは懐かしいからだけではなく、興味深い事を聞けると思ったからだ。


 彼はアメリカの海兵隊士官であり父がキューバ人。彼の父は幼い頃に家族と共にキューバを亡命しているため国籍はアメリカで英語しか話さない家庭に育った。

 

 彼からキューバを感じることはないが、キューバに対してそれなりの意見は持っていた、海兵隊として、亡命した父を持つ者として。


 まず彼のキューバに対する意見は否定的な意見であった。フィデル・カストロは独裁者であり、社会主義の政治は間違っているという強い意見であった。その考えに父の影響があるのは間違いない。その考え方は*革命直後の亡命キューバ人の典型例なものだった。詳細は不明だが、父の友達が理由もなく刑務所に入れられ資産を接収され、命からがら欧米に亡命したという経験が強く影響しているようだった。(*彼らは革命前のバティスタ独裁政権時に利を得ていた上流階級、中産階級といった人たち。亡命キューバ人にも時期や個人の経済状況によって亡命理由は異なる。)


 現にキューバに住む者、特に若い世代も政権に対しては厳しい意見を持つものは多い。反対に革命前と後を経験した高齢者には、政権を肯定的に見ている。はたまた、キューバにいながら海外に家族がいて比較的容易に海外訪問できる者は、より客観的にキューバ社会と外の社会を見ている印象がある。


 私自身、キューバや政権に対して外国人として自分なりの意見はある。だがキューバに6か月住んで、色々な人の意見を聞く中で学んだ事は、社会に正解はないのだということだ。自分の生きている環境や経験によって物事の見方は180度変わるからだ。

 

 しかし、その中でも自分の主張を持つ事は大切だ。自分の主張がない、あるいは言えないなら存在していないと一緒にみなされるからだ。海外留学を通して、私に足りないのはこの部分だと痛感させられた。

 

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